沖縄でスタートアップの相談をするなら、2023年9月に那覇市松山にオープンした、「Startup Lab Lagoon NAHA」、「創業ワンストップセンター」を知っておいてほしい。
どちらもさくらインターネット株式会社のDX拠点「SAKURA innobase Okinawa」内に入っており、サポートのプロが常駐している。国道58号線沿いなのでアクセスも便利だ。
沖縄のスタートアップを支援する「Startup Lab Lagoon NAHA」
沖縄でスタートアップ設立を考える県内外の人を支援する施設が、おきなわスタートアップ・エコシステムの拠点となる「Startup Lab Lagoon NAHA」。県内外から沖縄へのスタートアップ進出を目指す企業の成長を支援し、投資家や支援機関との繋がりの機会を創出する場所だ。
一般財団法人沖縄ITイノベーションセンター(ISCO)が運営する。平日2〜3人のスタッフが常駐し、
- プロダクトの市場適合性や資金調達
- 起業に役立つイベントの紹介
- 事業会社とのマッチング
などの無料相談にのってもらえる。事前にアポをとり、聞きたいことを伝えておくと、当日はより詳細な面談が可能だ。
スタートアップには段階的な成長ステージがあるため、県内の産学官金らと連携し、様々なセクターからの支援メニューが必要となる。いま自分の組織がどういう状態で、何がわからないのか、些細なことでも気軽に相談できるのがこの施設の強みだ。
ISCOシニアプロジェクトマネジャーであり、おきなわスタートアップ・エコシステムのメンバーでもある兼村さんは「スタートアップとは『世の中でまだ価値が証明されていないビジネスのこと』を指します。就職する、あるいは今勤めている企業で自分のやりたいことや新規事業を担うことは理想。しかし実際は、それらに挑戦するまでにある程度の権限が必要です。それまでの時間がもったいないと考える人や、周りの反対を押し切ってでも情熱を持ってやりたいことがあるという人は、スタートアップを目指す人に当てはまるのではないでしょうか」と話す。我こそは!と思う方は、ぜひ相談に訪れてみてほしい。
沖縄の社会起業家と伴走する「創業ワンストップセンター」
これまで沖縄で誕生したスタートアップの種類は千差万別。
キャンプ用品のシェアリングや釣船と釣り人のマッチング、AIを活用した運転代行、琉球大学や沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究員らによる、ディープテックと呼ばれる科学的な発見技術に基づいた取り組みから生まれるスタートアップなど様々だ。
また、沖縄は社会課題の宝庫であることから、身近な社会問題の解決に情熱を燃やし、起業を決意する人も多いという。
そんな社会起業家を支援するのが、「Startup Lab Lagoon NAHA」と同所に開設された「創業ワンストップセンター」。株式会社うむさんラボが運営を担い、沖縄県と連携して、沖縄の起業家の中でも特に社会課題解決を目指す企業の創業支援や事業成長をサポートする。
「創業ワンストップセンター」の機能は主に2つ。
- これから創業する人を対象に、上限200万円で支給される県の創業補助金の採択審査と、採択された企業に対する伴奏支援
- 創業するにあたって必要なものやビジネスモデルを伴走してサポートするプログラムの提供
2に関しては、ファンド事業など社会起業家の育成支援を行う株式会社talikiと共同で、4ヶ月間の創業支援プログラムを実施している。2023年度は12社が参加した。
沖縄に限らず、社会課題解決をビジョンとした企業はスタートアップであることが多いが、社会起業家ならではの難しさもある。例えば、
- 本当にそれが社会課題なのか
- マネタイズできるビジネスなのか
- 頼るべき機関はどこなのか
- これらを事業家自身が明確に理解できているかが、事業の持続性に大きく影響する。
センターを運営する株式会社うむさんラボの大西さんは「事業を通して、社会起業家はボランティアではないことも伝えていきたい。ビジネスとしての仕組みをつくれば対価が生まれてくるはずだ」と話す。
同社は、沖縄では初となる地域課題解決型のインパクトファンドの運用にも力を入れており、ここで相談もできる。
このインパクトファンドは、沖縄県の地域課題解決をめざす社会起業家・スタートアップを投資対象とし、運用総額は1.75億円で、期間は10年。
経済的なリターンのみを考える一般的なベンチャーインパクトファンドとは異なる、
社会的なインパクトをリターン軸に追加した新たなファンドを沖縄で周知したいという。
「事業を通して、沖縄には社会課題に向き合おうとする起業家が多いことを感じている。事業に対する思いに寄り添い、マネタイズできる仕組みづくりをお手伝いできればいいなと思う。沖縄は課題が山積みなので、社会課題を解決する企業をサポートすることで、沖縄が本当に良くなっていくことを期待する」と語る大西さん。
社会課題をビジョンとした事業を志している方は、豊富な経験と実績を持つうむさんラボが運営する「創業ワンストップセンター」に相談してみてはどうだろうか。
施設提供で沖縄のスタートアップを支援する「SAKURA innobase Okinawa」
「Startup Lab Lagoon NAHA」と「創業ワンストップセンター」が入るのは、さくらインターネット株式会社のDX拠点となる「SAKURA innobase Okinawa」。同社は、おきなわスタートアップ・エコシステム・コンソーシアムの加盟組織でもある。
施設提供により沖縄のスタートアップを支援するとともに、ITビジネス創出を目的とした人材育成のための各種イベントを施設内で開催する。
自身も沖縄出身であるコミュニティマネージャーの島袋瑞樹さんは、「当施設の運営に関わることで、沖縄が好きなスタートアップや起業家を支援できることに喜びを感じます。弊社代表の田中は『変化する人にやさしくある社会であってほしい』とよく言います。スタートアップが交流し、互いにモチベーションを高められるような場所であってほしいと思っています」と期待した。