2021年4月に石垣島にオープンした「Coworking Space KLATCH Ishigaki(クラッチいしがき)」。小規模なコワーキングスペースは以前から島にも何店舗かあったものの、常時オープンの本格施設としては石垣初として話題になった。日本最南端のアーケード商店街「ユーグレナモール」からもほど近く、ワーケーションにもぴったりの立地だ。
もともと3世代家族が住んでいた家を改築してコワーキングにしたというだけあり、屋内の構造がなかなかユニーク。おしゃべりや電話、飲食も自由な広々とした和室スペースをメインに、集中ルームが2部屋、そしてカウンターを備えたリビングルームなど「その日の気分に合わせて陣取る場所を選べるのが楽しい」と、利用者は口をそろえる。
「コミュニティが自然に生まれる場所を作りたかったんです」と語るのは管理者の鈴木陽介さん。「1万円で一人に来てもらうより、五千円で二人に来てもらって、一緒にこの場所を盛り上げてもらえれば」と話してくれたように、料金体系はかなりリーズナブル。さらに石垣島に住所がある島民であれば、通常価格の半額で利用が可能だ。
現在の会員は、フリーランスで働く移住者や、都会からワーケーションで訪れる人々が多いそう。朝6時からオープンしているので、受験シーズンには地元高校生もやって来る。
また、コミュニティ作りの仕掛けとして、週に何度か夕方から、リビングに備え付けのキッチンで日替わり飲食店も営業。「仕事中は話しかけづらかった人とも、食事をしながらであれば気軽な会話も生まれるので」と鈴木さん。
職種や年齢、性別を超えて人と繋がれる場所は、ありそうでなかなかない。さまざまな業種の人が出入りしているので、会員同士で互いに仕事を発注しあったり、専門外の分野からアイデアをもらったり、はたまた趣味のグループを作ったりなど、人間関係でさまざまな好影響が生まれているそう。
一口に「コワーキングスペース」といっても店舗によって個性は様々だが、Coworking Space KLATCH Ishigakiは肩肘をはらないゆったりした雰囲気が魅力。これからもこの場所で、さまざまな出会いと仕事が生まれていきそうだ。
利用者の声
IT企業勤務
間山航平さん
自宅のある仙台と会社のある大阪、そして石垣島の3拠点生活をしているという間山さん。同僚の住む石垣にワーケーションで訪れて以来、すっかり気に入って1年の1/3をこの島で過ごしている。今回の来島では、Coworking Space KLATCH Ishigakiで出会った仲間と「石垣島マラソン」に出場するのだそう。
「今までいろんなコワーキングスペースを利用してきましたが、ここは都会と違って会員がみんな半袖に短パン、裸足に草履姿なので、仕事だけどリラックスできます(笑)。フリーランスの人が多いし、人に話しかけやすくて、話してみたら同じエンジニアだったり。自然にコミュニティができやすい場です」
今後も来島の際には、ここで仕事を続けたいという間山さん。インタビュー後、しばらくお仕事に没頭していたものの、やがて周囲に馴染みの会員さんが集まってきて雑談タイムに。たくさんの仲間に囲まれて充実したワーケーションを過ごしているようだ。